会長挨拶

「今まさに正しい中毒医療が求められている!
―紀の国からの発信―」

第37回日本中毒学会・学術集会
会長 千代 孝夫
日赤和歌山医療センター 高度救命救急センター長

今回、第37回日本中毒学会総会・学術集会を担当させて頂くことになりました。伝統ある本学会を主催させて頂くことはこの上ない名誉であり、会員の皆様に感謝しております。このうえは、会員の皆様に裨益できるような集会とすべく、全力で取り組みたいと決心しております。ご支援の程お願い申し上げます(学会ホームページ参照下さい)。

会期は平成27年7月17日(金)、18日(土)で、会場は、名城として名高い和歌山城近くの和歌山県民文化会館です。JR和歌山駅や南海電車和歌山市駅からタクシーで5分、関西国際空港からは40分の距離の場所で、交通の便の良いところです。

本総会のテーマは、「今まさに正しい中毒医療が求められている―紀の国からの発信―」としました。中毒領域は、救急医学においては重要な分野であり、また、危険ドラッグに代表されるように、新製品などによる中毒等により毎年その起因物質が増加し、今後ますます必要とされる分野だと思っています。しかし、その一方では、その病態や治療、処置においてcontroversyの多い分野でもあり、何が正しいのか毎日の臨牀で悩まされています。今回の学術集会における討論や発表により、一挙に解決という訳にはいかないにしても、選択すべきひとつの指針が示されればと思っています。

そのための方策として「白熱ディベート」を試みます。これは、先の集中治療学会で岡元会長が3日間に亘り21演題で行われ、大成功を収めた企画です(集中治療の最新論点:岡元和文:2013)。各研究者により激論が戦わされることが予想されますが、Pro―Conディベートは勝ち負けが目的ではありません。会員が色々な意見を聞き、多様的なものの見方を学ぶことで、更に知識を深める事が主旨だと思っています。

シンポジウムは「危険ドラッグ―その現況と対応―」、パネルディスカッションは「知られない中毒、知っておくべき中毒、知らしむべき中毒」、教育講演は「海洋動物の毒」「救急医療機関における薬剤濫用への対応」「一酸化炭素中毒と高気圧酸素治療」「危険ドラッグ:依存、中毒症状の発現機序」を予定しています。ご期待下さい。

演題募集は、4月1日(水)から20日(月)までを予定しています。古狸からの若い先生方へのアドバイスです。今年こそ締め切り間際に慌てないようにする方策です。まず、テーマを幾つか考え、仮説を立てましょう。そのためには、文献を100読みましょう(学会抄録も良い)。先人の研究を知らない、踏まえないテーマはありえません。一人の人間が思い付くのは「たかが知れています」。そして、例えば質問紙による調査なら、幾人かに質問して、仮説との整合性を観察し、内容の修正を加えます。全て行ってからでは修正が大変です。ついで、データの集積を行います。そして、考察を加えます。その時には必ず ”limitation”を付けましょう。考察が深まり、我田引水が無くなります。そして4月1日に応募して1番を取りましょう、お待ちしています。

中毒学の特徴として、救急医のみならず、DIの提供を行う薬剤師、分析を行う臨床検査技師、そして、精神科医、基礎医学者、法医学者、薬学者、警察医など多くの専門家が協力する領域でもあります。この目的で、今回も「日本毒性学会」からの参加を頂き、共同シンポジウム「臨床中毒と毒性学―そのコラボレーション―」を持ち、学識を深め合いたいと思います。

また、中毒学の専門家を養成するための企画でもあります「第4回クリニカルトキシコロジストセミナー及び認定試験」を実施いたします、どしどしご応募下さい。

これ以外にも、恒例のフォトコンテスト(中毒に関連するものを歓迎しますが、今回はジャンルを問いません)も募集しておりますので奮ってご応募下さい。

また、学会1日目の夕方には会員懇親会を近くのホテルアバロームで開催します、美味しい食事と楽しい出し物があります、多数のご参加を待っています。

開催地の和歌山県は、美しい海岸線と内陸部には1000m前後の山々を有し、その間に水量豊かな河川を持つ風光明媚な県であり、釣り、ダイビング、海水浴、川遊び、登山、温泉、そして、世界文化遺産に指定されている、熊野道、熊野三山、高野山などの霊場を持つ観光には最適のところです。

参加される方は、学会終了後に、美味しい海山の幸を味わわれ、龍神、湯の峰、白浜、椿、勝浦などの温泉で疲れを癒し、邪念のある方は熊野三山に詣でて、心を清められることをお勧めします。

一人でも多くの方に参加して頂きますように、心よりお願い申し上げます。

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