ご挨拶

日本ハイパーサーミア学会第33回大会開催にあたって

筑波大学医学医療系(放射線腫瘍学教授)

櫻井英幸

このたび伝統ある日本ハイパーサーミア学会において,第33回学術大会をつくば国際会議場にて開催させて頂くことになり,大変光栄に存じます.

学会のテーマは,「ハイパーサーミアの原点~次のステージに向けて~」とさせていただきました.ハイパーサーミアは,生物学や物理学といった確かな基礎医学的知見に基づいて,明らかな治療効果を有するがん治療として臨床応用されています.しかし,それぞれの臨床医によって,ハイパーサーミア利用のコンセプトは異なり,局所および領域加温,全身加温,放射線や化学療法との併用,増感,DDS,HSP,免疫,HIPEC,RFA,凍結療法,新しい装置開発,など多様性のある研究領域へと広がってきております.

一方で,臨床でのハイパーサーミアはがん患者の近くに寄り添って,医療者と患者が一緒になってがんを治してゆく治療,はっきり言えば泥臭くて手間のかかる治療です.現状の保健医療の中では,病院に大きな利益をたらす治療ではないために,行いづらい現状があります.しかし,前述した本治療の多様性を念頭に置いて,個々の医療者・研究者が,この治療を医療においてどのように役立てて行くかを科学的に考えてゆくのが本学会の使命だと思います.優れた臨床家や研究者が集う本会で,基礎医学での最近の発展をレビューしたのちに,さまざまなコンセプトでの治療法に焦点をあてて討論していただければと考えています.

特別講演としては,Duke大学教授でInternational Journal of Hyperthermiaの編集責任者でもあるMark W. Dewhirst先生をお呼びして,米国でのハイパーサーミア研究の現状と将来についてご講演いただきます.

本会のなかで,各個々の研究者が,次のステージにむけてどのような努力をしてゆけばいいのかを考える会になれば良いと思っております.ぜひ多数の方々にご参加頂ければ幸いです.

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