会頭挨拶

第27回全国病児保育研究大会

会頭 木野 稔

わが国は本格的な少子高齢社会を迎えておりますが、核家族化や女性の社会進出など、子どもを取り巻く環境も大きく変化しています。未来を担う子ども達を心身ともに健全に育成する必要性がより高まっていると言えます。満を持して平成27年度より始まった子ども・子育て支援新制度では、全ての子ども・子育て家庭を社会全体で支援する社会保障制度の見直し、少子化対策の推進に伴うワーク・ライフ・バランス(働き方の見直し)と様々な働き方に対応できる子育て支援の充実等が示唆されています。子育て中の親にとって最も関心の高いニーズは、待機児童の解消とともに病児・病後児保育の整備です。就労形態の多様化に伴い、病児保育はその役割を増し、ニーズに見合うだけの施設数を配置する施策が望まれています。一方、待機児童対策もあって乳幼児保育や小規模保育施策が推進されていますが、保育の低年齢化は感染や事故の機会を増すことになり、健康状態の把握と安全確保が必須です。すなわち、量の確保とともに病児保育事業の質の向上が求められ、専門職種としての医療の役割は益々大きくなっております。

さて、今回「第27回全国病児保育研究大会」を大阪で開催することになりましたが、第16回大会(平成18年)以来の大阪での開催で、場所も同じ大阪市中央公会堂で行います。この10年の間に、病児保育事業を行う施設は全国的に増え、医療や保育をはじめ社会全般にも病児保育が認知されるようになってまいりました。

今大会のテーマは「これからの病児保育-大切にしたいこと、始めていくこと―」といたしました。昭和44年、全国に先駆けて大阪府枚方市で医療機関併設型の病児保育が始まりました。半世紀を経て、病児保育発祥の地大阪から、小児医療や福祉領域における病児保育の意義を確かめ、将来の日本の国の根幹をなす育児支援事業の一つとしての役割を考える機会となることを願っております。

全国病児保育協議会は平成3年に結成され、以降医療と保育の協働体として、病児保育事業の健全な発展を目指して研究・広報等の活動を行ってきましたが、本研究大会も年次で全国から医療関係者、保育関係者が集い、研究発表とともに情報交換の場となっております。全国の協議会参加施設だけでなく、保育、医療関係者や学生に参加を呼びかけております。さらに、この機会を通じて本事業が子育てを行う全ての家庭への支援として欠かせないものであることを、行政や社会一般の方々にも知ってもらえるようにと願っています。

最後になりましたが、本大会の実施についてご協力、ご支援くださいました関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

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