経済のグローバル化が進み企業間の競争が国際的にも激しさを増す中で、高い価値を有する国際的なブランドの確立及び保護のため、商標権の活用がますます重要になってきています。このような中、日本特許庁は、世界の商標出願件数の5割を占める日米欧中韓の商標五庁が一同に会する商標五庁(TM5)の枠組みにおいて、他国/地域の知財庁と協力しながら、世界各国で安定した商標権を速やかに取得でき、適切に保護されるような環境整備に取り組んでいるところです。特に、本年は、「ユーザーフレンドリーな商標制度に向けた国際協力の推進」を本会合のテーマとしています。

ところで、日本では、本年4月に、「音商標」、「動き商標」、「ホログラム商標」、「色彩のみからなる商標」及び「位置商標」の5つの非伝統的商標を保護対象とする改正商標法が国会で可決・成立しました。

一方、海外においても非伝統的商標に関しては、様々な動きがあります。欧米では、商標の定義として、識別力のある標識を広く「商標」として登録できる法制度の下、すでに非伝統的商標が保護されています。ただし、欧州では、においの商標は、2002年のSieckmann(ジークマン)判決により、商標の内容が明確に特定できないと判示され、同判決以降、現在まで、その登録は認められていません。また、韓国では、音、におい、位置の商標が2012年から保護対象とされており、中国では、音の商標を保護対象とする法改正を行い、本年5月1日に施行しています。

そこで、商標五庁(TM5)年次会合の会期中に開催される商標ユーザーセッションにおいて、各庁代表者による「年次報告」に加え、「非伝統的商標」に関するプレゼンテーション・パネルディスカッションを行うこととしました。

この「非伝統的商標」について、五庁とユーザーの方々とで情報交換、意見交換をすることは、世界各国での迅速な商標権の取得と適切な保護に向けて、有意義と考えております。

各庁の商標トップ・担当者が集う貴重な機会であり、参加者の皆様に各庁の状況について知見を深めていただきたく、またとない機会と考えております。ぜひ、多くの方々にご参加いただけることを心より期待しております。

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