一般社団法人日本学校保健学会の第63回学術大会は、2016年11月18日~20日に、筑波大学(茨城県つくば市)を会場として開催される運びとなり、第30回(江口篤壽学会長)、第45回(森昭三学会長)に次いで、18年ぶり3回目となります。
今大会のメインテーマは、「学校保健学の知の創造と発信-子供たちの健康と安全を守り育てるために-」と致しました。昨年の第62回大会(岡山市)における「子どもを守り 育てる 学校保健」を継承しながら、そのための「学」としての学校保健の学術的知見の創造と発信に焦点をあてたものです。
今日の我が国では、児童生徒のいじめや不登校などの心の問題、生活習慣の乱れ、喫煙・飲酒・薬物乱用、エイズ、新興感染症および再興感染症の発生・流行、自然災害等による傷害など、多様な健康課題が社会的に深刻な問題となっています。今後はますます、子供たちの健康や安全を守り育てるという、根本的かつ重大な役割を担う学校保健の責務が大きくなることは間違いありません。そうした中で、変化し続ける健康課題に対応しながら学校保健活動をさらに充実、発展させていくには、その実践を支える学問あるいは科学としての「学校保健学」がまずは不可欠となります。特に、グローバル化や情報化、少子高齢化等を背景として社会環境や生活様式が急激に変化していることや、医療や科学技術等が目覚ましい進歩を続けていることなども踏まえながら、次代を見据えた研究成果を「創造」していくことが、一層求められている時期にきていると思われます。
また、学校保健研究の知見を広く社会や国民に向けて、さらには海外に向けて、より積極的に「発信」していく必要もあります。そうした中で、子供たちの健康と安全を守り育てることに寄与するとともに、創出された成果が行政等にも重く受け止められて教育改革に影響を与え、貢献していくべき本学会の使命をも、改めて強く意識していかなければならないと感じています。
開催地のつくば市は、研究学園都市として成熟し、我が国最大のサイエンスシティとなっています。また、歴史ある筑波山をシンボルとして、緑豊かでゆとりある都市環境が実現しています。さらに、「つくばエクスプレス」の鉄道開業等により、首都圏からのアクセスも大変便利になりました。多くの皆様がご来筑くださり、本大会において交流が一層深まりますことを心より願っております。
一般社団法人日本学校保健学会 第63回学術大会
学会長 野津 有司(筑波大学 教授)