このたび,第41回鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウム(Japanese Narcotics Research Conference: JNRC)の世話人代表を拝命しました獨協医科大学医学部麻酔科学講座の山口重樹です。そして,2022年8月20日(土)・21日(日)の2日間にわたり第41回JNRCを開催させていただく運びとなりましたことをご報告申し上げます。
鎮痛薬・オピオイドペプチド研究会は1980年にInternational Narcotics Research Conference (INRC:国際麻薬研究会議)に対応するわが国の研究組織として創生され,第1回JNRCが高木博司教授(当時京都大学薬学部)および藤村一先生(当時岐阜大学医学部)の呼びかけにより京都にて開催されました。翌1981年には高木博司先生主催のもと第12回INRCが京都で開催されました。JNRCの目的は鎮痛薬およびオピオイドペプチドの薬理あるいは生理作用を中心に痛みの制御の問題等を基礎・臨床の両面から幅広く捉え,これらの研究の向上を図り,INRCと密接な関係を維持しつつその成果を普及することとされています。
JNRCの特徴は,研究者のみならず臨床で活躍なさっている医療職の方々にも一同に参集していただき,オピオイド鎮痛薬を中心とした鎮痛薬全般にわたって,これまでの開発・研究・臨床の変遷,現状の問題点,今後の展望などについて熱い議論が交わされていることです。また,年一回開催されるJNRCは産官学での鎮痛薬・オピオイドペプチドに関する情報交換の場にもなっています。私自身もJNRCに20年以上にわたって参加し,多くの最新の知識を知ると共に,日々の臨床,研究,教育の糧としてきました。
そのような歴史があり,国際学会のチャプター的役割を果たしている第41回JNRCの世話人代表を拝命させていただけることは,私自身のみならず,私を育ててくれた栃木県足利市にとってもとても光栄なことではないかと考えています。そのような思いで,第41回JNRCを足利市で開催させていただくこととしました。
足利市は,皆さんご存じのとおり,日本最古の学校である足利学校がある歴史の古い街です。足利学校は,室町時代から戦国時代にかけて,日本における事実上の最高学府と称され,全国から多くの来学徒がり,足利市において日本の学びの礎が築かれたとされています。そのため,第41回JNRCのテーマを“学びの原点「足利」で鎮痛薬を学ぶ”とさせていただきました。第41回JNRCでは,新型コロナウイルス感染症蔓延化において増加傾向にある痛みを訴える患者への鎮痛薬の適正使用,また,薬物療法の実施のためのICD-11における新たな慢性疼痛の分類の理解,現状使用されている鎮痛薬の問題点と新たな鎮痛薬の開発と可能性などについて,会員の皆さんと熱く語り合いたいと考えています。
現在,第41回JNRCの開催に向けて鋭意準備していますが,新型コロナウイルス感染症の蔓延状況が続いている状況ではどのような形式での開催が可能かどうか不透明なところです。現時点では,会場となる足利市におこしいただき,対面で熱く議論できればと考えています。しかしながら,新型コロナウイルスの蔓延状況,会員の皆様の施設のご事情などもあるかと思いますので,開催形式においては,参集できない演者の方々の事前収録,当日現地参加できない方々へのオンデマンド配信などで対応できるよう,状況に応じて柔軟に対応していきたいと考えています。
私共も,例年と変わらぬ活気溢れた会にできるよう工夫を凝らして準備していくつもりですで,何卒よろしくお願い申し上げます。末筆になりますが、JNRCが,新型コロナウイルス感染症にも負けず,今後さらに発展することを心から祈念しております。
令和3年3月吉日
世話人代表 山口重樹
獨協医科大学医学部麻酔科学講座