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大会長挨拶

「歯周病のリスク管理は、全身の健康に寄与するか?」
第63回秋季日本歯周病学会開催に際しての主旨説明とWeb開催変更のお知らせ

2020年10月16日、17日に日本歯周病学会秋季総会学術大会を北陸金沢の地で開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染の拡大を受けて医療系学会としての社会的責務と学会員をはじめ学会参加者の方々の感染リスク低減を重視するべき観点から、やむなく現地開催を断念しWeb方式で開催することとなりました。Web開催のメリットを生かしつつ、皆様のニーズに最大限答えられるような大会を目指して開催者側一同、鋭意尽力して参りますので、何卒、ご理解、ご協力の程宜しくお願い申し上げます。大会メインテーマは、「歯科医科連携による歯周病リスク管理」とさせて頂きました。「医科歯科」とせず、あえて「歯科医科」としたのは、糖尿病と歯周病に代表される医科歯科連携においては、まず、従来型の歯周治療から、歯周医学(ぺリオドンタルメディスン)に基づいたいわゆる「歯周医療」への歯科からの行動変容が求められているという想いからです。また、「歯周病リスク管理」という言葉の背景には、慢性疾患重症化予防の実現には、超高齢社会における日常化した医療に対して歯科医師、歯科衛生士そして医療従事者が一丸となったチーム医療の実現が必須という想いがあります。最近では、健康寿命からさらにステップアップして、百寿社会となった我が国の今後を「幸福寿命」という視点で考えよう!という方向性も示されています。歯周病も、現在、疾病負荷の観点から新しい方向性がいくつか示されており、口腔疾病としての歯周病も非感染性疾患(NCD)として認識されるようになり、健康寿命延伸、医療費適正化、健康格差是正への寄与が期待されています。これらの背景を基盤に、歯周病も従来の重症度、症候群分類から疾病負荷の観点からステージとグレードからなる新分類が提唱されています。リスク検査➡診断➡治療という医科モデルに準じた疾病管理により、糖尿病などの歯周病関連疾患のいわゆる「未病検査」に基づく先制医療と健康維持を実践する上で有用な診断分類となることが期待できます。さらに、歯周病と糖尿病の医科歯科連携の促進普及を意図した日本歯科医学会からの要請を受けて「糖尿病関連歯周炎」の保険病名策定に向けて日本歯周病学会において診断基準の検討作業が実施されています。人の老化パターンは生活習慣病の合併に起因した要介護疾病モデルとフレイル虚弱モデルに分類されていますが、歯周病の進行、歯の喪失パターンもそれと類似したパターンを示すことが長期データベース研究により明らかにされており、Productiveな老後に向けて歯周病や口腔の機能低下を意識した医科歯科連携によるライフコースアプローチを可能とするための更なる長期的臨床エビデンスの構築と社会体制の整備が望まれています。一方、食習慣(食栄養、食生活習慣)と疾病との関連が明らかになっているものとして、2型糖尿病や脂質異常症、肥満などとともに「歯周病」が明記されています。生活習慣病という視点から歯周病を捉えた場合は、歯周病発症および重症化の環境リスク因子の中でも食習慣因子への対策として食栄養指導支援を医科歯科連携の一環として歯科で行う必要があります。平成30年度に制定された特定健診の質問項目に咀嚼能、早食い、糖質の摂取および間食に関連して歯科から国民の生活習慣の改善を指導できる項目が追加となり、今後、歯周病を含む生活習慣病予防とその症状改善のために、食栄養指導支援を、医科の主治医や管理栄養士、保健師と歯科医師および歯科衛生士がチーム医療として双方の視点から連携して行っていくことができるようになることが期待されています。歯周治療においては、禁煙指導支援とともに、食栄養指導支援においても[医科歯科連携した保健指導支援を実施できる者]としての歯科医療従事者の真価が問われることとなります。

以上の観点から、特別講演Ⅰでは、「歯周医学の過去、現在、未来」というタイトルで歯周医学研究の第1人者であるオランダACTAのProf. Bruno Loos先生によるWeb講演を予定しています。また、特別講演Ⅱでは、「糖尿病をとりまく現状と地域一丸の糖尿病対策の必要性 ~糖尿病医科歯科連携を中心に~」というタイトルで糖尿病と食栄養に関して見識の深い岐阜大学医学部糖尿病内科の矢部大介先生によるWeb講演を予定しています。さらに、メインテーマの主旨を反映した認定医・専門医ならびに歯科衛生士教育講演、地域参加型の医科歯科連携シンポジウムを含む各種シンポジウムや歯科衛生士シンポジウム、市民講座、そして、セミナーなど多彩な企画(Web配信)を予定しています。オリンピックイヤーの架け橋の年となる2020年の秋、Web学会の利点を十分にご活用頂き、多くの情報を日々の臨床、研究にお役立て頂ければ幸いです。多数の皆様のWeb学会参加を心よりお願い申し上げます。

第63回秋季日本歯周病学会学術大会 大会長
神奈川歯科大学口腔統合医療学講座歯周病学分野
三邉 正人

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