大会長挨拶

2024年10月4日(金)、5日(土)の2日間にわたり、第67回秋季日本歯周病学会学術大会を札幌コンベンションセンター(札幌市)において開催いたします。本大会では2019年コロナ以前の状態と同じく、人数制限なく希望者は全員現地参加できる予定です。

テーマは「新たなる歯周病への挑戦」とし、これまであまり注目を集めてこなかった問題に焦点をあて、歯周病の多様性を新ためて認識するきっかけにしたいと考えています。特別講演では、低フォスファターゼ症による歯周組織破壊や非プラーク性歯肉炎、認知機能の低下と歯周病の3つを企画しました。低フォスファターゼ症は遺伝性の骨系統疾患で、セメント質の形成不全のために歯根と骨との結合が脆弱となり、乳歯が早期に脱落するとされてきました。しかし近年、さまざまなタイプがあり成人になって発症する症例や、歯のみに症状を示す症例があることがわかってきましたので、歯周病に携わる者として理解を深めておくことが重要と考えています。非プラーク性歯肉炎は、皮膚科疾患として診断されない場合には治療に苦慮することが少なくありませんので、口腔内科的視点も必要と考えています。また、歯周病はさまざまな全身疾患や健康寿命との関連が報告されていますが、高齢化に伴い認知機能が低下してくるとプラークコントロールをはじめ歯周治療が不十分になってきますので、認知機能の低下と歯周病についての知識をアップデートしておくことが大切と考えています。

シンポジウムではセメント質剥離破折を取り上げました。急速に歯周組織破壊を生じ、その病態は歯周炎と似ていることが多く、治療法や原因も不明確ですので臨床に役立つ議論にしたいと思っています。

また、2023年から「歯周組織再生医学優秀論文賞」の表彰が始まります。歯周組織再生は歯周治療の大きな目標の一つであり、今後の発展が望まれる分野でもありますので、第一回の受賞者2名の先生に講演を行っていただく予定です。

歯科衛生士シンポジウムでは、「効果的な洗口剤の選び方・使い方」として、洗口剤をどのような考えで、どのような症例に使用しているのかについて講演していただき、今後の臨床の参考にしていただきたいと考えています。

日本歯科専門医機構による歯周病専門医を取得するためには毎年2単位の研究が必要で、かつ5年間で5項目の研修すべてを網羅している必要があります。5項目を網羅していないために専門医機構の専門医を取得できないという事態をできるだけ避けるために、最近行われていない項目、頻度の低かった2項目に、医療倫理を加えて3講演を行う予定です。ご自分が過去にどの研修を受講しているのか十分に確認し、必要な講演を選んでいただくようお願いいたします。また、定番の認定医・専門医教育講演、歯科衛生士教育講演、ランチョンセミナー、スイーツセミナー、一般口演、ポスター、臨床ポスター、企業展示などの他に、今大会から、歯学部学生によるポスター発表が加わることになっています。

北海道の10月初旬は秋が深まりつつあり、大雪山系の旭岳や十勝岳などでは壮大な紅葉が見ごろとなります。北海道の海の幸、カニ、イクラ、ホタテ、北寄貝などが旬を迎え、秋刀魚も生で味わえる季節です。エゾシカをはじめとする脂肪を蓄え始めたジビエや、涼しくなって旬を迎える牛乳と収穫の最盛期となる農産物から作られるスイーツは、絶品の時期を迎えます。食の宝庫を是非ご堪能ください。

スケジュールがタイトな皆様にご利用いただけるように、ポスター印刷・掲示代行サービスも継続して行う予定です。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第67回秋季日本歯周病学会学術大会
大会長  菅谷 勉

(北海道大学 大学院歯学研究院 歯周病学教室 特任教授)

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