会長挨拶

このたび、第24回日本胎盤学会ならびに第34回日本絨毛性疾患研究会を担当させていただくことになり、大変光栄に存じております。 2016年11月25日(金)、26日(土)の両日に、和歌山市『アバローム紀の国』で開催いたします。

両学会の歴史を振り返りますと、日本絨毛性疾患研究会は、国内にまだ絨毛癌患者が多かった1980年代のはじめに絨毛性腫瘍の予後改善と基礎・臨床研究の発展のため発足し、同時に地域登録事業の全国への普及、奇胎管理の確立に貢献しました。絨毛癌診断スコアをはじめとして、奇胎の遺伝学的解析、高感度hCG測定法、MAC療法・MEA療法など、常にこの分野で日本が世界のトップで有り続けたことは、本研究会の諸先輩の歴史的な偉業であると思います。またこの研究会の主要メンバーによって、日本における取扱い規約の発刊・改訂および2013年には治療ガイドラインの確立に至りました。

一方、日本胎盤学会は1993年に日本胎盤研究会として第1回学術集会が開催され、その後学会へと発展しながら20年以上にわたって、胎盤を中心とするあらゆる生理学的・病理学的・分子生物学的研究の解明に貢献してきました。

私個人のことで恐縮ですが、私は1989年に大学院に入学して絨毛癌細胞の実験を開始し、初めての学会発表が絨毛性疾患研究会でありました。その後、腫瘍性トロホブラストである絨毛癌だけでなく、妊娠時の胎盤形成や病態生理におけるトロホブラストにも興味をもち、トロホブラスト研究の面白さに魅了され、国際胎盤学会(IFPA)にも参加するようになりました。

腫瘍分野と周産期・生殖分野の一見臨床的には異なる2つの学会が併催されるようになった理由としては、言うまでもなく、共通のキーワードである『トロホブラスト』ではないかと個人的には考えております。したがって、今回の学術集会のメインテーマを『トロホブラスト・リサーチ〜原点から未来へ〜』と命名し、これまで発足時から両学会に携わってこられた多くの先生方、および現在・未来のトロホブラスト研究を目指す若手研究者が一同に集まり、意見交換し、本学術集会が世界に発信できるような日本オリジナルの胎盤・絨毛性腫瘍の研究成果の発表の機会になれば幸いに存じます。

和歌山には和歌山城、白浜の温泉とパンダ観光、熊野古道、高野山など多くの観光地もあり、学会後はぜひ、足をのばして楽しんでいただきたいと思います。遠方ではございますが、多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。どうぞよろしくお願いいたします。

第24回日本胎盤学会学術集会
第34回日本絨毛性疾患研究会

会長  井箟 一彦

(和歌山県立医科大学 産科婦人科学講座)

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