ご挨拶

第51回人工心臓と補助循環懇話会学術集会

代表世話人
千葉大学大学院医学研究院 心臓血管外科学 教授

松宮護郎

2023年2月17日(金)~18日(土)、千葉県木更津市にあります竜宮城ホテル三日月 富士見亭におきまして「第51回人工心臓と補助循環懇話会学術集会」を開催させていただく運びとなりました。補助循環研究開発および治療に携わる多くの関係者の皆様からご支援を賜り、本会を開催させていただくことは大変光栄なことであり、深く感謝申し上げます。

本会は、人工心臓と補助循環に関する研究開発と臨床応用の問題点を徹底的に論じ、その実用化推進を図ることを目的として1971年に発足し、わが国における補助人工心臓治療の発展とともに歩んでまいりました。研究者と臨床家が一堂に会して討議することのできる研究会として、非常に歴史の長い会であり、毎回充実した議論が行われ、この分野における代表的な学術集会となっております。さらに、2011年に定常流植込型補助人工心臓に対する保険償還が開始され、移植施設以外にもその門戸が開かれたのを機に、医師のみでなく補助人工心臓治療に携わる様々な専門職の方々にご参加いただける会に発展してまいりました。近年では、臨床工学士や看護師などのメディカルスタッフ、人工心臓や補助循環装置の開発・製造・販売に携わる企業の方も数多く参加していただいております。関係者が一堂に会し、開発から臨床応用に至るまで幅広く現状と将来を語り合い、我が国のこの分野の今後の益々の発展に大きく寄与する意義深い会であると考えております。

日本の補助人工心臓治療は欧米に比べかなり遅れて参入したにも関わらず、その成績は世界で最も優れたものとなり今日に至っております。しかしながら、様々な解決するべき問題点も明らかになってきました。生命予後は大きく改善したとはいえ、様々な合併症は未解決のものが多くあります。特に感染による再入院、再手術は減る傾向はなく、完全植込み型デバイスの実現など研究開発者にかかる期待は大きいものがあります。また、実際に自宅で療養ができるようにはなったものの、様々な制限があり、真の社会復帰にはつながっていないという問題もあります。介護者の負担軽減も喫緊の課題です。これらの問題を解決できるよう、関係者一同で知恵を絞って前に進めていかなければならないと思います。

新型コロナウィルス感染は完全に収束したとは言えませんが、現時点では本会は現地開催のみを予定させていただいております。本会の伝統にのっとり温泉地で酒を酌みかわしながら、本音で語り合うことができる会を目指し準備させていただきます。皆様のご参加と活発なご議論を期待しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

PAGE TOP