会長ご挨拶

第42回日本コミュニケーション障害学会学術講演会を、2016年5月14日(土)~15日(日)に千葉(千葉県文化会館)で開催することになりました。千葉県は医療、教育ともに古くからコミュニケーション障害の研究や臨床の成果を、さまざまな形で全国に発信して参りました。今回は歴史ある本学術講演会を、この千葉県ではじめて開催できることに、関係者一同たいへん光栄に思っております。

本学術講演会のメインテーマは「温故知新 ~ 故きを温ねて 未来へ ~ 」と致しました。ここ数年コミュニケーション障害者を取り囲む環境は、医療、教育、福祉にとどまらず、介護や保健の分野へも大きく広がっております。現在、我々コミュニケーション障害者を支援する側においても、従来の伝統的な手法による言語機能訓練から、ICT技術を活かした代替拡大コミュニケーション、嚥下訓練など、本当に多岐に渡った知識や専門技術が要求されています。そこで今回は、今までの研究実績を温ね、これからの言語訓練や嚥下訓練、コミュニケーション障害者への支援の未来を考えるというのがねらいになっております。

1日目の特別講演では日本の神経心理学の創始者のお一人であり、現在も我々臨床家を牽引し続けて下さっている河村満先生に、失語などの臨床神経心理のみかたについてもう一度ご教授頂こうと思います。教育講演では在宅訪問での摂食・嚥下訓練の第一人者である戸原玄先生に、急性期から生活期における摂食嚥下障害の評価と訓練の実際についてご講義いただきます。また、ランチョンセミナーでは、「リハビリテーション栄養」の概念を打ち立てた先駆的お立場のお一人である若林秀隆先生に、効果的にリハビリテーションを実施して行く上で見逃してはならない「栄養」の考え方についてご講義いただきます。

2日目には公開セミナーを行い、千葉県千葉リハビリテーションセンター小児科医の永沢佳純先生に、発達外来での経験から子どものコミュニケーションを育てる関わりについて、保護者の方や、教員、保育士、若いST向けにお話しいただきます。更に今回は体験セミナーの時間を設け、千葉大学大学院融合科学研究科で、IT技術を駆使した言語学習支援や失語症者支援にも尽力されている黒岩眞吾教授に、ICTロボットのPepperくんをはじめとするICTを活用した失語症者支援のための様々なツールをご紹介頂きます。

新たな研究成果や知見を深める一方で、我々臨床家の症例検討会は言語訓練を構築する上で根幹となるものであり、その重要性は、決して揺らぐものではありません。そのようなコミュニケーション障害の臨床についてさまざまな討論が出来るような企画も検討しております。

5月の千葉県は、1年間を通しもっとも温暖で過ごしやすい季節となります。会場となる千葉市は東京湾横断道路を使用した羽田空港からのアクセスも便利で、東京ディズニーランドや東京お台場にも近くなっております。ぜひ学術と共に、心のリフレッシュにもお越し頂ければと存じます。どうぞ多くのみなさまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

このページのTOPへ