大会長挨拶

第26回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会  大会長 木野孔司(東京医科歯科大学 歯学部附属病院 顎関節治療部)

第26回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会のご案内をさせていただきます。本総会が東京で開催されますのは3年ぶりとなります。今回のメインテーマは「これからの顎関節症治療を考える」といたしました。日本において1950年代に「顎関節症」という病名が定められてから既に半世紀が経過いたしました。また1960年代にはスプリント療法や咬合調整といった治療法が保険医療に取り入れられ長年実施されてきました。しかしこれらの治療では、完全には痛みが消失しない患者、体調が悪化すると再発する患者といった、いわば「隠れ顎関節症」患者が多数残されており、歯科医自身もそれ以上には症状を改善させることができないままになっている状況がしばしばみられます。このような状況を解決する方法が近年明らかになってきました。難治症例の患者さんの大多数はTCH(Tooth Contacting Habit(歯列接触癖))と名付けた癖を持っていることが判明したことから、この癖を是正するとともに、これまで積極的には行われてこなかった顎関節や咀嚼筋に対する強力なリハビリテーショントレーニングを実施することで、完全に痛みを消し、再発の不安のない健康な顎関節や咀嚼筋に回復させることができるようになりました。

またこのTCHに関する患者観察や研究から、この習癖は顎関節症のみならず、歯周病、根尖性歯周炎、義歯性疼痛、充填物や補綴物の脱落や破損、歯の破折、口内炎、舌痛症、咬合違和感といった、多くの口腔内疾患の悪化要因にもなっていることが判明してきました。このようなことから本学術大会におきましては顎関節症のみならず、一般歯科医療においても利用価値が高いTCHの管理に焦点をあて、日本歯科医師会および東京都歯科医師会からの後援を受けて、会員以外の一般歯科開業医、歯科衛生士にも広く参加を促す予定です。

7月下旬の東京は酷暑が予想されます.皆様カジュアルな軽装でお越しください.原則ネクタイは禁止にさせていただきます.冷房に弱い方は例外として,堅苦しさのない学会開催にご協力いただけますようお願いいたします.

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