大会長挨拶

第24回日本統合医療学会学術大会
大会長 酒谷 薫
(東京大学大学院 新領域創成科学研究科人間環境学専攻)

第24回日本統合医療学会学術総会のWEB方式による開催のお知らせ

第24回日本統合医療学会学術総会の開催準備を始めた頃には新型コロナウイルス感染症は未だ発生しておりませんでした。今年に入ってから新型コロナウイルス感染が世界的に拡大する傾向を見せ始め、4月には緊急事態宣言が発令されました。この頃より、大会組織委員会ではWEB方式による開催が議論されるようになりました。7月に入り新型コロナウイルス感染が再び急速な拡大傾向を示しはじめ、大会組織委員会と議論を重ねましたが、本大会はWEB方式の開催にすることにいたしました。

WEB方式では実技を伴うワークショップや企業展示などは制限を受けますが、自宅からでも手軽に参加でき、海外との交流も簡単にできるなどメリットも少なくありません。実際、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ICT(情報通信技術)を活用したテレワークやオンライン講義は急速に普及しており、またオンライン学会もすでに数多く開催されております。

本大会のテーマは”幸せの統合医療 - AIからスピリチュアリティまで-”ですが、AIに象徴される先端情報通信技術としてのWEBは、ウィズコロナ時代の人々に幸せをもたらす技術になり得るものだと思います。WEB方式による開催をネガティブに捉えるのではなく、ウィズコロナ時代に適した医療のあり方ついて考えるきっかけになればと期待しております。

それでは、皆様とWEB上でお会いできることを楽しみにしています。


一般社団法人日本統合医療学会 第24回学術大会を2020年12月12日(土)、13日(日)に東京大学柏キャンパスにて開催させて頂きます。多くの専門分野の先生方が参加される本大会を担当させて頂くことは大変栄誉に存じております。

本大会を企画するにあたり、メインテーマとして「幸せの統合医療:AIからスピリチュアリティまで」といたしました。「AI(人工知能)」などの先端技術に加えて人間の本質でもある「スピリチュアリティ」を大切にし、「幸せ」を追求する次世代型統合医療の実現を目指しております。

近年、急速に発展しておりますAIは、画像診断や遺伝子診断など先端医療への応用が進んでいます。また、IoT化した生体モニタリングによりPHR(Personal Health Record)を構築し、日常生活の中で健康管理を行うためのシステム開発が進んでおります。このようなAI/IoTなどの先端情報通信技術は、次世代型統合医療の実現に不可欠な技術であり、ことにサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させた人間中心の社会(Society5.0)のモデルケースであるスーパーシティ構想においては、重要な役割を果たすものと思われます。

しかし一方では、先端技術を取り入れながらも現代医療の指の隙間から零れ落ち、病に苦しみ、天寿を全うできない方も少なくないことも事実です。死を前にした方たちの身体的苦痛を取り除くペインコントロール、悲しみや不安を和らげる精神的ケアに加えて、人間の隠された本質でもある霊性に対するスピリチュアルケアも必要になると思うのです。医療の原点である「病気ではなく、病人を治す」ことに立ち返ると、スピリチュアリティは避けて通れない課題なのです。そして、スピリチュアリティは、終末期だけではなく、幸せな終末を迎えるための「終活」においても重要な概念だと思います。科学をベースとしたエビデンスや健康寿命を尺度とする現代医療の視点に加えて「幸せ」を目指した医療が重要と考えて、「幸せの統合医療」というメインテーマを提案した次第です。

「会員による会員のための大会」となりますよう、会員の皆様には奮ってご応募、ご提案そしてご参会いただきますようお願い申し上げます。

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