ご挨拶

看護管理の「シンカ」を求めて

第21回学術集会のメインテーマは,「看護管理の『シンカ』」です。

超高齢化と人口減少社会を背景に,持続可能な医療提供システムが模索され制度改革がすすむ中,看護管理者が果たすべき役割はますます大きくなってきました。社会経済情勢やAI等のテクノロジーが急速に進展し変化し続ける現代,保健医療介護の分野においても、地域社会における生活形態や価値観の多様化に伴う新たなニーズが生まれています。これらの解決に相応しい新たなサービスやその提供方法の開発が求められています。また、人口減少の最中、時代にあった労働のありかたの模索も必要です。このように知識,技術,サービスの向上に努め,地域社会からの期待に応えていくために,看護管理はさまざまな「シンカ」を遂げようとしています。

本学術集会では,実学としての看護管理学の「真価」の追究を軸に,これまでに積み上げてきた活動と研究の成果・知見を深く掘り下げ磨き上げる「深化」,社会のニーズを捉えてしなやかに変化し発展を図る「進化」,そして既存の枠にとらわれずに新しい価値を創りあげる「新価」,この4つの「シンカ」を探究していきます。

また、「看護政策」という観点からも「シンカ」に切り込んでいきたいと考えています。本学会の英文名「Japan Academy of Nursing Administration and Policies」に、「政策」が明示されているのは、現場の課題を見極め,医療提供システム改善や制度改革に向けて声を上げ、行動できる存在として、看護管理者への期待が込められているからに他なりません。看護管理の実践・研究から,看護政策を「つくる」「動かす」ための方策を,皆さまと考えディスカッションする場になれば幸いです。

マネジメントの立場から看護を牽引する皆さまが、年に1回つどうこの学術集会は、医療を取り巻く社会の変化という荒波を乗り越え、それぞれの現場において難しい航海の舵をとっている皆さまが、さまざまな体験や思いをかかえて寄港する「港」のような場だと考えています。

「JANAP21港」には、マネジメントという航海に役立つたくさんの知見や、豊かな出会いが準備されています。「JANAP21港」で有用な知識や方法を吸収して充電し、からだとこころを癒やし、明日の航海のための知恵と勇気と活力を得ていただくことができましたら、これ以上の喜びはありません。

「シンカ」のカの字は,「力(チカラ)」と読むことができます。臨床現場のさまざまな場で看護管理と政策に携わる皆さまの「力(チカラ)」を結集して,力強い「シンカ」へとつなげていく,そのようなヒントにあふれた学術集会となることを願っています。

第21回日本看護管理学会学術集会

学術集会長 小池 智子

慶應義塾大学 看護医療学部
大学院健康マネジメント研究科

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