日本精神保健看護学会 第28回学術集会・総会
学術集会会長 森 真喜子(国立看護大学校 精神看護学分野)
第28回日本精神保健看護学会学術集会を国立看護大学校(東京都清瀬市)で開催することになりました。都内での開催は第20回以来、8年ぶりです。
開催地の清瀬周辺には、古くから結核療養所やハンセン病療養所などが設置され、多様な背景を持つ人々といかに共生するかを模索し、考え続けてきた歴史をもつ土地柄です。
そこで、今回の学術集会のテーマを「共生社会をひらく 精神保健看護の力―語る力 受ける力 つくる力―」としました。障害の有無にかかわらず、誰もが社会の一員としてお互いを尊重し、支え合って暮らすことを目指す「共生社会」の考え方は社会に浸透しつつありますが、まだいくつもの課題が残されています。こういった課題と向き合うには、瞬発力ばかりでなく、しなやかな強さが求められるのではないでしょうか。学術集会テーマの“ひらく”を平仮名とすることで、拓く(切り拓く)、開く(扉を開く・花開く)、啓く(啓く=啓発する)といった様々な意味を包含し、かつしなやかに障壁を乗り越える強さを表現したいと考えました。
精神保健医療福祉の現場におけるアウトリーチサービスや共同意思決定の実践例を通じて精神医療従事者と精神障害当事者の関係性を再考するというテーマでの「特別講演」、認定NPO法人の20年間の取り組みを振り返りながら、リカバリー志向の支援と社会資源整備のプロセスから地域における共生の在り方を考えるテーマでの「教育講演」などを企画しました。その他、共生社会の現在と未来を語り合う「シンポジウム」も予定しております。
共生社会をひらくために、精神保健看護の専門職として何を語り、聴き、感じ、理解し、変革していくのかを、精神障害当事者や他職種と共に考える場が皆様に提供できれば、この上ない喜びです。
会員の皆様による実践活動報告や研究成果発表とともに、多くの方々の学術集会へのご参加を、心よりお待ちいたしております。