第42回日本熱傷学会「Science of ARTs- 次世代への襷」
第42回日本熱傷学会総会・学術集会を主催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。総会・学術集会は平成28年6月2日(木)~3日(金)に千葉県浦安市の「シェラトン・グランデ・トーキョーベイホテル」で開催します。
本邦の熱傷研究は、昭和39年6月に順天堂大学で開催された熱傷研究会に始まります。総会・学術集会は第1回(林周一教授)、第14回(八木義弘教授)に続き、この度本学から3人目の会長を仰せつかり、諸先輩が務められた伝統ある本学会の会長の襷(たすき)を繋ぐことは大変名誉あることであり、心から光栄に存じます。
メインテーマは「Science of ARTs- 次世代への襷」としました。重症熱傷患者の救命に向けた病院前救護から初期治療、周術期の治療、再建医療、リハビリテーションなどの課題に取り組む予定です。また集団熱傷災害時の取組み、敗血症治療の先端的研究、社会復帰に関する課題、さらに熱傷診療の体制整備も重要であります。これらのキーワードART:A(Assessment、Analysis、Archives、Anesthesia、Acquired Weakness)、R(Resuscitation、Regeneration、Reconstruction、Rehabilitation、Risk Management)、T(Transportation、 Total Care、Team Approach、Tissue Engineering、Translational Research)を次世代に伝えていきたいと思います。
本学術集会の招待講演には、David N. Herndon先生の「Modulation of the Hypermetabolic Response to Burn Injury」、特別講演には本学環境医学研究所所長の高森建二先生の「かゆみを科学する」と前サッカー日本代表監督の岡田武史氏による「チームマネージメント〜今治からの挑戦〜」のご講演をいただく予定です。企画テーマとしては、台湾粉塵爆発事故を通して多数熱傷患者への対応について、関係各学会との緊急シンポジウムを組みました。シンポジウムでは「集団災害時の多数熱傷患者の対応」、「培養皮膚とアログラフトを用いた重症熱傷ハイブリッド治療」を、パネルでは「熱傷のER診療」、「早期社会復帰のためのチーム医療」、ワークショップでは「熱傷専門医を考える」をテーマにしました。
さらに本会では様々な領域からの教育講演を企画しました。本学生化学長岡功教授の「敗血症の基礎研究の最前線」、長崎大学救急部田崎修教授の「気道熱傷の病態と治療」、日本医科大学形成外科小川令教授の「熱傷の瘢痕治療が変わった!−瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイドの発症機序から最新治療まで−」、資生堂株式会社村井明美氏の「社会復帰を支援するメイクアップ」、株式会社オリエンタルランドセキュリティ部川崎拓己氏の「東京ディズニーリゾートの防災体制」についてご発表いただきます。ポスターセッションでは本会の大先輩の先生方から貴重なご意見をいただきます。この場をお借りして御礼申し上げます。
その他、一般演題、各セミナー等を企画しています。会員の先生方の活発なご討議と、ご指導ご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。
平成27年9月吉日
第42回日本熱傷学会総会・学術集会
会長 田中 裕
(順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科教授)