会長挨拶
第96回日本衛生学会学術総会
会長 小橋 元
獨協医科大学医学部 公衆衛生学講座 教授
この度、第96回日本衛生学会学術総会を、2026年3月19日(木)から21日(土)の3日間、栃木県総合文化センター(宇都宮市)において開催いたします。
日本衛生学会は、1902(明治35)年の「衛生学」、「細菌学」、「伝染病学」が連合した日本聯合医学会第1回学会分科会に遡れば実に120年、1949(昭和24)年の第1回「日本衛生学会」総会からは70年を超える歴史と伝統のある学会です。ヒト(宿主)-環境-病因を包括的に理解し、健康維持増進を目指す社会医学の分野として、感染症、環境汚染、栄養・食品安全、住環境、少子化対策、精神的ストレス、国際保健等々、その時代における社会・環境問題に取り組んでまいりました。また、動物・細胞を用いた実験研究および人を対象とする疫学研究双方のエキスパートを擁することも大きな特徴です。
近年、感染症パンデミック、災害、食品安全の問題など、とても大きな事柄が次々と起こっています。IoT(Internet of Things)によって全てのモノとヒトが繋がり様々な情報や知識が共有されるSociety 5.0が進み、AI、5G、ロボット、VR、ビッグデータが活用されていますが、倫理・社会的問題、データセキュリティやプライバシーの問題も大きく残っています。そのような中、内閣府や文科省は、あらゆる分野の科学技術に関する知見を総合して新たな価値を創出し、社会における安全・安心の確保とwell-beingの最大化、さらには科学技術・イノベーション成果の社会実装を実現し、社会変革に繋げる「総合知」の推進を提唱しています。
衛生学は、今こそ、人の命を中心に、様々な分野、知恵を繋ぐ、総合知の推進を目指さなければなりません。地球環境、人間社会や経済活動を繋ぐSDGs、研究と人を繋ぐ社会実装、プロフェッショナリズムなどの考え方、ライフコースやリプロダクションやプレコンセプションなどの世代を繋ぐ予防は、衛生学の視点で多分野を統合的に繋げて理解・実践されるべきでしょう。そのため、今回のテーマは「繋ぐ ~総合知で人の生をまもる~」といたしました。
会場の周辺には、餃子やカクテルなどの美味しいお店もあります。皆様には、多くの方々、多くの分野と繋がり、実り多い機会としていただけましたら幸いです。
多くの皆さまのご参加を心よりお願い申し上げます。