第61回日本新生児成育医学会・学術集会のご案内
『「おさなご」を発見しよう!』
第61回日本新生児成育医学会
会長 北島博之
(大阪府立母子保健総合医療センター)
第61回日本新生児成育医学会を2016年12月1(木)~3日(土)、大阪国際会議場にて開催させていただきます。第26回日本新生児看護学会学術集会も12月2日(金)〜3日(土)に共に開催されることになりました。この学会は新しく命名され、まさに早産児をはじめとしたすべての新生児の成育医学を担う学会としてこれから発展していく学会となりました。大阪では、第1回高井俊夫先生(大阪市立大学)、第17回松村忠樹先生(関西医科大学)、第37回竹内徹先生(大阪府立母子保健総合医療センター)、第47回藤村正哲先生(大阪府立母子保健総合医療センター)、第55回船戸正久先生(淀川キリスト教病院:YCH)に続いて6回目の光栄な役目を賜ったことに感謝いたします。最後の御3人の先生方には、日本初の母子センターが設けられたYCHで、1976年に輪読会に参加した時から指導を受けました。ちょうどこの時期に、大阪で先生方による「新生児診療相互援助システム:NMCS」(公立や私立を問わない病院連携による自助組織)が立ち上げられ、現在まで大阪全体の新生児診療推進の中心となっています。今回の学会はこのNMCSの先生方の気持ちと創意を持ち寄って、良いプログラムを作りあげていきたいと思います。
今回の学会のテーマは『「おさなご」を発見しよう!』です。
“人は赤ん坊のときから、その生きる力はそれ自身のなかにあります。「おさなご」を発見するとは、「おさなご」はみずから生きる力をあたえられているもので、親々の助けやあらゆる周囲の力にまさる強力なものだとたしかに知ることです。のみならず、そうしてその強い力が、われわれに何を要求しているかを知ることです。”(羽仁もと子著「おさなごを発見せよ」より)
特別講演として、国立成育医療研究センターの松原洋一先生による「未診断疾患イニシアチブ」の基本システム構築とそこから見いだされてくる新知見をお聞きします。招待講演として、米国からTufts University新生児科のJonathan M. Davis教授に「新生児医療 Next Stage」についてお話していただく予定です。同じく米国からMarshall Klaus と共に歩まれたPhyllis Klausさんをお呼びして「ドゥーラ」のお話を聞く予定です。全ての母子の関係性をよくすることで、将来のしっかりした大人社会を作ろうという壮大な枠組みの中で、最も基本になるお話です。「おさなご」の母への強い基本的信頼感を育むことが、世のヒトを信頼する基本になります。そのためには「おさなご」の最も強い能力「そばにいるヒトの気持ちを感じ取る能力」をしっかり伸ばす母との良い関係性を築くために、産む母の心の中に「安心」があることが最も重要です。この「母の安心」から生まれるバースハピネスを含めた形で、普通分娩での母子そして家族への継続的な情緒的支援の大切さを公開シンポジウムで訴えようと思います。
さらに日本新生児看護学会と合同で、「つかってみぃひん?私たちの力」・「これからの療養環境~うちらの空間つくってみよか~」の二つのシンポジウムを企画しています。また特別講演として、種は違えど同じ哺乳類として、愛情をかけて育む視点から、「双子のパンダの子育て」について、白浜アドベンチャーワールドの方にお話しいただきます。
学会のシンポジウムとしては、これからの新生児学における実験研究の最前線・バースコホート研究の今・早産児核黄疸・NICUにおける電子カルテなどを開く予定です。是非、皆様方が熱いお気持ちで参加していただけるよう大阪の地でお待ち申し上げます。