大会長挨拶

“伝統と革新 歯周病撲滅に向けて!”

特定非営利活動法人 日本歯周病学会理事長
60周年記念京都大会大会長

栗原 英見

(広島大学大学院医歯薬保健学研究科 歯周病態学研究室)

日本歯周病学会は昭和32年(1957年)に日本歯槽膿漏学会として設立され、今年創設60周年を迎えます。会員数は1万人を超え、日本の学会の中でも有数な学会です。日本歯周病学会は、歯周病の治療・予防を通じて国民の健康増進に貢献することを目指して、歯周病の原因の究明、新しい検査法・診断法・治療法の開発と普及、専門医・認定医の養成、認定歯科衛生士の育成、歯周病予防などの活動を行っています。

本学会は大学で研究、教育、臨床に携わる、いわゆる「科学者」が長年リーダーシップを取り発展を続けてきた学会です。これまでに本学会は、学術面で大きな成果を挙げて参りました。近年は糖尿病、慢性腎臓病、血管障害、早産・低体重児出産、関節リウマチ、あるいは非アルコール性脂肪性肝炎などの多くの疾患の発症や悪化と歯周病との関連を明らかにしてきました。もはや、歯周病は単に口の病気だけではなく、全身的な健康を維持する上で“鍵”となる極めて重要な病気です。

一方、歯科医療の提供体制の特徴として、歯科医療のほとんどが小規模な診療所で提供されています。このことから、本学会の強みである「学術的成果」を正確に地域の歯周病治療に広く反映できる体制を作り上げることが、本学会の今後の発展に繋がります。「伝統」とは私どもが培ってきた「科学の力」であり、「革新」とは「科学を普及させる新たな体制作り」であります。

60周年記念京都大会では、歯周病と様々な疾患との関係を最新情報で整理しなおすこと、最新の研究から歯周病の治療・診断の新しい発展を展望すること、超高齢社会で活躍する専門医、認定医、認定歯科衛生士に必要で十分な知識を提供することを目的としました。

本学会は60周年を機に「歯周病撲滅」という大きな目標を立てました。これを達成するために、新たな10年の活動方針を「京都宣言」として、日本歯科医師会、日本歯科衛生士会など関係諸団体と共に世に発信します。

「歯周病撲滅にむけて」新たな1歩を京都の地から共に歩み始めましょう!

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