このたび日本ハイパーサーミア学会第36回を、2019年9月6日(金)~7日(土)の2日間、埼玉県川越市で開催させていただくことになりました。本県では初の開催になります。伝統ある本学会を主催させていただきますことを大変光栄に存じます。
日本ハイパーサーミア学会では医学・工学・物理学・生物学の研究者が協調して、ハイパーサーミアに関する学問を臨床・基礎の両面から発展させ、がん治療の分野で大きな貢献を果たしてきました。ハイパーサーミア(温熱療法)は基礎医学ならびに物理工学の知見に基づき、優れた科学的根拠を有するがん治療として発展し、臨床に用いられています。保険診療として承認されて以来、長年にわたり、様々ながん種に対して優れた治療成績が報告されています。特に進行癌の治療において、放射線治療や化学療法とならび重要な役割を果たしています。ハイパーサーミアは単独治療のみならず、放射線治療や化学療法との併用で優れた増強効果を発揮しますが、今後は近年の発展が著しい免疫療法や、様々な新規がん治療薬との併用で飛躍的な進歩が期待されます。一方で、ハイパーサーミアの更なる普及や診療レベルの均てん化をはかるためには、診療ガイドラインの存在が不可欠です。以上から本大会のテーマは「エビデンスに基づく温熱療法へ」とさせていただきました。テーマに即して、ハイパーサーミアガイドラインの現状に焦点をあてています。さらに治療の均てん化に欠かせないQA(品質保証)も大きなテーマとして取り上げています。大会は一般演題69演題、シンポジウム6企画(臨床3、工学2、生物1)、ワークショップ1企画、教育セミナー、イブニングセミナー、HIPECセミナー等から成り、お陰様で大変充実したプログラムになっております。医学・工学・物理学・生物学の研究者が一堂に会し、様々な課題を抱えるがん治療に向き合い、多様な視点からハイパーサーミアに関する最新の研究成果について議論し、ハイパーサーミアの新たな展開ならびに普及に貢献する場となればと考えております。本大会が今後のハイパーサーミア(温熱療法)の進歩や普及において、重要な大会となるよう努めてまいりますので、ぜひ多数の方々のご参加をお待ちしております。
川越は小江戸と呼ばれ古い蔵造りの街並みがのこる素晴らしい観光地で、首都圏からの交通の便が良いところです。本学術集会とともに川越の伝統文化にも触れていただき、ご堪能いただければ幸いです。
日本ハイパーサーミア学会第36回大会
大会長:髙橋健夫
(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)