会長挨拶

第44回日本慢性疼痛学会を2015年2月27日(金)、28日(土)の両日、横浜中華街にあるローズホテル横浜において開催させて戴くこととなりました。慢性疼痛は通常の治療では治しにくい痛みで、多くの場合患者の性格や人生迄も変えてしまいかねない重篤な状態を作り出してしまいます。その為にも、本学会の役割は大切な位置づけとなっていて、これ迄も開催されてきた学術大会で多くの研究、治療法が発表されて参りました。しかしながら、治療に抵抗性を持つ痛みも多く、しばしば治療に苦慮することも少なくありません。この様な痛みは身体の痛みのみならず、心の痛みをも引き起こしてしまい、患者に取っては大きな苦痛となることとなります。また、治療に際しては患者との意思の疎通が上手くいかない事もあり、時には齟齬を生ずることもあります。それ故、良好な医療者—患者関係が治療の鍵となります。治り辛い痛みの場合は、患者の気持ちになって治療を行うことで、こころの痛みを和らげることもできます。

本学会は医師、歯科医師、薬剤師、看護師、針灸師、心理学者、カウンセラー、また基礎医学者、教育者など慢性疼痛に関係のある従事者が一同に介して行われる類い稀な学際学会です。毎年行われる学会では、治療者側からみた研究発表が多くなされて邁進して参りましたが、今回のメインテーマは「患者の立場に立った慢性痛への取り組み」と題して、議論をしたと考えております。われわれ治療は、真剣に取り組むあまり、治療優先となり患者の立場を疎かにする恐れがいつも付きまといます。病気に捕われることなく、いつも患者を全人的に診る必要があります。

2年続けて横浜での開催にあたっては、世界一を誇る横浜中華街を選ばせてもらいました。魅力ある美味しい食事を堪能しながら、より良い思考が発想することでしょう。一方で、疲れた頭を休めるためにも活気ある中華街や、山下公園の散策も格別なものがあります。学会は従来通り一般演題をはじめとして、特別講演、招請講演、教育講演、基調講演、セミナー、市民講座などの開催を予定しております。慢性痛に病む患者を救いたい気持ちをお持ちの専門家が集う学会に、多くの会員の方々の参加を心よりお待ち申し上げます。

第44回 日本慢性疼痛学会
会 長 別部 智司
神奈川歯科大学 麻酔科学講座 客員教授

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