第5回 日本創傷外科学会総会・学術集会 会長 鈴 木 茂 彦 京都大学医学研究科形成外科学 教授 |
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このたび第5回日本創傷外科学会学術集会を主催させていただくにあたり,会員諸先生方および関係各位に謹んで御礼申し上げます。波利井先生,野崎先生のご尽力で2008年7月に創立された創傷外科学会は,会員1,000名を超える学会に成長いたしました。学会の発展の節目である5周年に学術集会を開催させていただくことは誠に光栄に存じます。
本学会のテーマを「創傷を学ぶ」とさせていただきました。「日本創傷外科学会」の設立目的は、形成外科的観点から各種創傷の治療法の開発や検証を行い,外傷,熱傷などの急性創傷から褥瘡や難治性潰瘍など慢性創傷までの幅広い創傷治療,いわゆる「きず」治しの専門家を育成することです。私はこれをさらに一歩進めて,形成外科の基盤知識を有する「創傷外科医」が「治療学」にとどまらず,「創傷基礎学」「創傷診断学」「創傷治療学」を合わせた「創傷学」のエキスパートになってほしいと願っています。
このような観点から今回の学会は「創傷を学ぶ」という大テーマのもと,「創傷基礎学」「創傷診断学」「創傷治療学」に分類し,それぞれの分野で特別講演,シンポジウム,パネルディスカッションを組みたいと考えております。
最初にテーマの「創傷を学ぶ」をそのままのタイトルで特別シンポジウムを企画し,ベテランと新進気鋭の先生方に創傷を語っていただきたいと思います。さらに「創傷学のブレイクスルー」を展示演題の主題テーマとしても取り上げます。「創傷基礎学」の分野では,iPS細胞を利用した疾患モデルの研究で成果を上げておられる京都大学iPS 研究所准教授 井上治久先生と,弾性線維について独創的な研究を展開されている関西医科大学薬理学講座教授 中邨智之先生に特別講演をお願い致しました。また,これまでは取り上げられることが少なかった「創傷診断学」にもスポットを当て,シンポジウムを計画しています。「創傷治療学」に関しては,最近よく取り上げられる「慢性創傷」に限らず「急性創傷」や「外科的創傷」なども幅広く対象とし,教育講演,パネルディスカッションを多く組みたいと思っております。この分野では日本手外科学会の単位となる教育講演を組み入れ,若手の形成外科医,創傷外科医が手外科に興味をもつきっかけにするとともに,手外科学会専門医認定申請や更新単位取得が行い易くなるよう考えております。
特別プログラム,一般演題,展示演題に関わらず奮って演題のお申し込みをいただきますようお願い申し上げます。なお,専門医制度の暫定制度最後の試験も会期中に行われる予定です。
会場となるホテルグランヴィア京都は京都駅直結ですので,新幹線や空港バスターミナルからも便利です。また,京都では最大の催しと言える祇園祭が7月初めから始まります。山鉾巡行は17日ですが,山鉾の組み立て(鉾建て)は学会前の10日から順次始まり,最も有名な長刀鉾も学会会期中には建っており,京都駅から地下鉄で2駅の四条烏丸へ行けば観ていただけます。
皆様方のご参加と熱い討論で第5回創傷外科学会学術集会が,日本創傷外科学会の新たな飛躍の契機となる有意義な会となることを心から祈っております。