会長挨拶

第68回日本ウイルス学会学術集会 会長 森 康子

第68回日本ウイルス学会学術集会を、2021年11月16日(火)~18日(木)の3日間、ハイブリッド形式で神戸国際会議場において開催させて頂くこととなりました。本学術集会は昨年開催予定でしたが、COVID-19パンデミックの影響を受け、延期させて頂きました。皆様に大変ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

ウイルス感染症の歴史を考えると、それは紀元前に遡ります。宿主にとってウイルスは脅威ではありますが、時には必要な存在なのかもしれません。長い歴史における進化の過程で、ウイルスは自身の遺伝子変異に加えて、宿主と共存する、という道も選びました。そんなウイルスの生存戦略、つまり、巧妙な手口を紐解くことで、生命の謎にも迫っていくことができるのではないかと考えます。そこで、今回は、学会メインテーマを「ウイルスの神秘を探る-illuminating the depths of virology-」としました。

新たなウイルスは突如出現し、そして時には大流行を引き起こし、生命体を脅かします。研究が発展し、たとえ現存のウイルスを駆逐することができても、未知のウイルスがまた出現するでしょう。COVID-19パンデミックは、世界を恐怖に陥れ、世の中を大きく変えることになりました。科学は進歩しても、ウイルス感染症がこの世界から消え去ることはないでしょう。ウイルス学研究の深遠を感じます。

一方で科学の進歩は、ウイルス学の歴史を大きくプラスにも変動させていきます。本学術集会では、ノーベル賞受賞記念講演を企画し、Michael Houghton博士およびCharles M Rice博士にC型肝炎ウイルスについてご講演頂きます。さらに、Keynote lectureとしてDavid M Knipe博士にヘルペスウイルスについてご講演頂きます。そこで関連するシンポジウムとして「C型肝炎ウイルス」および「持続感染ウイルス」を企画しました。

文部科学省新学術領域研究「ネオウイルス学」との共催により、国際シンポジウムを開催します。さらに、初めての取り組みとして日本臨床ウイルス学会との共催シンポジウム「COVID-19-基礎から臨床まで-」を行います。また、日米医学ウイルス性疾患専門部会共催による国際シンポジウム「Emerging Virus Infections: Pathogens, pathogenesis, and pathophysiology」を開催し、海外からの著名な研究者に、最新の新興・再興感染ウイルス感染症についてご講演頂きます。さらに、教育講演、ミニシンポジウムや緊急セッションとして「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」を開催予定です。

シンポジウムは、会場での対面式を予定しております。一般口演およびポスターセッションはWEB発表とし、オンデマンド配信といたしますが、WEBでのリアルタイムディスカッションを行う予定です。WEB懇親会も企画しております。

本学術集会は、国内外の研究者が一堂に会し、ウイルス学の基礎から応用に関する研究成果を熱く議論できる場所と考えております。ウイルス学を基礎、臨床を含めた多方面から議論することで、疑問の解決や新たな発想を導き出せる貴重な機会であると信じております。ご参加頂き、活発な議論をお願い申し上げます。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

第68回日本ウイルス学会学術集会

会長 森 康子

神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター

臨床ウイルス学分野教授

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