心疾患患者の社会的自立をめざして
-小児から成人への移行期の諸問題を考える-
平成28年7月8日(金)午後3時~5時30分
会場:東京ドームホテル「オーロラ ウェスト」(C会場)
座長の言葉
重症の心臓病のこどもたちのほとんどが救命され、大人になっていく時代が現実になってきました。医療者も御家族も、誰よりも患者様本人が待ち望んでこられたことだと思います。
一方で、家族と社会に守られてきたお子さんが、社会の中で一人の大人として巣立っていくには様々な解決すべき課題があることも明らかになってきています。医療が必要な子供たちが社会で大人として自立していくには、それぞれの立場からの継ぎ目のないシームレスな移行が進むためには、主役である患者自身、家族がなすべき事、医療と社会が準備すべき事というそれぞれの役割に応じた対応がともに進む必要があります。最近の10年間でこの準備は医療側からは成人先天性心疾患学会を中心として、患者様の側からは心臓病の子どもを守る会や心友会の動きとして、そして社会制度の面では医療費の公費負担部分が継続できるようにと様々な努力が進められていました。
心疾患以外の小児がん、腎臓病、膠原病等、神経疾患等、さまざまな分野で共通な問題があることと、すこしずつ異なった状況があることもわかってきており、日本小児科学会の提言でも各分野の状況に応じた移行プログラムの策定が求められています。心疾患のように外見では判断しにくい内部障害といわれる病態の患者様たちが社会で自立していくためには、周囲の援助だけでなく家族と本人の持続的な努力も必要です。
この市民公開講座は、患者の社会的自立が「願い」から「目標」となり「急務」となりつつある中で、移行のシステムの問題と同時に必要な、移行を支える医療費と生活保障の現状と問題、就労に関する課題を取り上げ、患者さん御自身、御家族、医療者がともに考えるきっかけにしたいと考えています。
プログラム
- 開会の挨拶:
- 小川俊一(日本医科大学、第52回日本小児循環器学会学術集会 会長)
- 座長:
- 西畠 信(鹿児島生協病院小児科)
星合美奈子(山梨大学医学部 新生児集中治療部)
シームレスなトランジション(移行期医療)を目指して:
小児期から成人期への移行(トランジション)を考えるにあたって:
窪田満(国立成育医療研究センター 総合診療部)
患者様へのアンケートから:
落合亮太(横浜市立大学看護学科)
質疑応答
自立に必要な社会制度(公的補助・制度の解説と問題点)
小児期・成人期の医療費補助制度(小児慢性特定疾患、難病特定疾患の改訂):
掛江直子(国立成育医療研究センター 小児慢性特定疾病情報室)
生活保障に関連した支援制度(身体障害者認定、年金・生活保障):
西畠 信(鹿児島生協病院 小児科)
質疑応答
就労支援の現状と問題点
自立支援制度と愛媛での就労支援:
檜垣高史(愛媛大学小児科)
社会の中での自立をめざして(患者の立場から):
末永瞳(心友会 患者)
質疑応答
総合討論
- 閉会の挨拶:
- 星合美奈子(山梨大学医学部 新生児集中治療部)